理学療法士や作業療法士は将来性がないって本当?
やめとけって言われるのはなぜ?
これからどうすればいいの?
この記事では、これらの疑問や不安にお答えします。
Googleで「理学療法士」「作業療法士」と入力すると、
予測変換で「やめとけ」とか「給料安い」とか出てきて、
「国家資格は安泰だと思って選んだのに…」
「やめた方がいいのかな…」
「これからどうしよう…」
と不安になる方が多いと思います。
実際、理学療法士や作業療法士が置かれている状況はあまり良くありません。
一方、とてもやりがいのある仕事であることも事実です。
「理学療法士・作業療法士はやめとけ」という言葉を目にして、
「楽しいけどやめた方がいいのかな…」と考えているならば、生き残る方法を探すことをお勧めします。
「あまり楽しくない」「やりがいより給料」という方は他の仕事を探した方が良いかもしれません。
この記事を読めば、理学療法士や作業療法士がやめとけと言われる理由と対策について分かり、将来の見通しを立てることが出来るでしょう。
理学療法士や作業療法士はやりがいがある仕事。
理学療法士や作業療法士として生き残るためには転職や副業を考えるのがベスト。
理学療法士・作業療法士はやめとけと言われる理由
給料が低い
理学療法士・作業療法士はやめとけと言われる理由の1つ目は、給料が低いことです。
理学療法士・作業療法士がいくら稼げるかは制度によって定められており、有限です。
頑張れば頑張るだけ稼げる仕事ではありません。
むしろ、1年目の新人でも、10年目のやり手でも、稼げる金額は同じ。
頑張った結果が給料に反映されないのは辛いですよね。
また、日本は少子高齢化で、リハビリの対象者は減少、社会保険料は増加していきます。
そのため、今後リハビリに関わる診療報酬や介護報酬がさらに引き下げられる=給料が下がるということも十分考えられます。
昇給・昇進がほとんどない
理学療法士・作業療法士はやめとけと言われる理由の2つ目は、昇給・昇進がほとんどないことです。
業種別の賃金改定額において、医療・福祉の昇給額は3800円弱で最下位。建設業に比べると半分以下です。
昇給が少ない理由として、先に挙げたように給料自体が低いこともありますが、昇進が難しいことも一因として考えられます。
なぜ昇進が難しいのか?それは一般企業や他の医療関係職種と比べて管理職のポストが少ないからです。
一般企業であれば、いろんな部署があり、それぞれに主任・課長・部長などのポストがあります。また病院に勤める看護師であれば、いくつかの病棟があり、それぞれに主任や師長などのポストがあります。
しかし理学療法士・作業療法士はリハビリテーション科という一つの部署に所属することがほとんどです。科長のポストは1つ、大所帯であれば主任のポストはいくつかあるかもしれませんが、たかが知れています。
そのため昇進による昇給が難しいのです。
責任が重い
理学療法士・作業療法士はやめとけと言われる理由の3つ目は、責任が重いことです。
理学療法士・作業療法士の仕事は、患者や利用者の生活に直結しています。
医師は病気の治療をしてくれますが、生活できるようにはしてくれません。
理学療法士・作業療法士は患者や利用者が生活できるようにするのが仕事です。
例えば脳梗塞の場合、医師の治療により病状が落ち着いても、右半身が動かない状態で家に帰ることはできません。
そこでリハビリにより、右半身の動きを改善するための練習をしたり、右半身が動かない状態でも家で生活できる方法を練習したりします。
人の身体を扱い、人ひとりの生活や人生を左右する仕事というのは、想像以上に責任の重いものです。
また、思うように動けない人を動かすことは常にリスクを伴います。
転倒させてしまうリスク、病状を悪化させてしまうリスク…。
そのような責任を背負い続けることを負担に感じる理学療法士・作業療法士が多いのは事実です。
自己研鑽ありき
理学療法士・作業療法士はやめとけと言われる理由の4つ目は、自己研鑽ありきだということです。
理学療法士・作業療法士は医療に関わる専門職であり、確かな知識と技術を持つことが求められます。
そして、医療は常に進歩しているので、理学療法士・作業療法士も常に知識や技術のアップデートをしなければなりません。
それ自体は、プロとして当然のことでしょう。
やめとけと言われる所以は、それが業務の一環ではなく自己研鑽としてまとめられるからです。
自分の意思で、自分の時間を使って勉強することが当たり前とされています。
実際、理学療法士・作業療法士の研修は仕事以外の時間に参加しやすいように夜間や土日に開催されることが多いです。
当然代休も給料もありません。
さらに言うと、勉強しても資格を取得しても給料に反映されません。
仕事量が多い
理学療法士・作業療法士はやめとけと言われる理由の5つ目は、仕事量が多いことです。
理学療法士・作業療法士はリハビリテーションだけしていれば良いかというと、そうではありません。
制度に基づいたいくつもの書類作成、医療関係職種との連携、家族への指導、福祉用具の選定、居宅訪問などに加えて、リハビリ機器やリハビリ道具の整備、簡単な補助具の作成など、多岐に渡る業務をこなします。
業務時間はリハビリテーションや他者が関わる業務に費やし、業務時間外に書類作成などをする療法士も少なくありません。
休みにくい
理学療法士・作業療法士はやめとけと言われる理由の6つ目は、休みにくいことです。
日曜日は多くの病院が休みですが、入院患者のリハビリは祝日や土日に関係なく365日実施する病院が増えてきています。施設でも祝日は営業しているところが多く、ゴールデンウィークや盆休みはないということが珍しくありません。理学療法士・作業療法士に限らず、医療関係職種は長期休暇が取りにくいのです。
加えて、理学療法士・作業療法士は、多くの場合患者や利用者ごとの担当制になっています。
担当数によっては、1時間休むだけでその時間のリハビリを他のスタッフに代行してもらう必要が出てくるため、気持ちとしては休みにくいです。
また、担当制であることによって、患者や利用者に休みが筒抜けになります。
中には「しっかり休みなさい」と笑顔で仰ってくださる方もいますが、「休みが多いね」と嫌味を言われることの方が多いので、なかなか気持ちよく休むことができません。
理想と現実のギャップ
理学療法士・作業療法士はやめとけと言われる理由の7つ目は、理想と現実のギャップがあるからです。
理学療法士・作業療法士は、「本人のしたい生活を叶える」という思いで仕事をしています。しかしそれはリハビリだけで叶えられるものではなく、理想で終わることも多いのが現実です。
例えば、病院や施設で介助があればトイレに行ける方がいます。看護師や介護士に対してどのような介助をすればトイレに行けるかを伝えますが、忙しさやリスクを理由に実現しないことがあります。
また、リハビリをすれば歩けるようになる方がいます。しかし家族からは「歩けるようになってまた転倒したら困るので歩くリハビリはしないでください。」と言われることがあります。
このように、自分がしたい仕事ができないことにストレスを感じている療法士は少なくありません。
人間関係が複雑
理学療法士・作業療法士はやめとけと言われる理由の8つ目は、人間関係が複雑だからです。
どんな仕事でもどんな職場でも、人間関係のトラブルは付きものですが、理学療法士・作業療法士だからこそ巻き込まれる人間関係のトラブルがあります。
・患者や利用者との人間関係
理学療法士・作業療法士は、他の医療関係職種と比べて1人の患者や利用者と関わる時間が長いです。担当制なので関わりの密度も濃くなります。
リハビリをする上で信頼関係を築くことはとても重要なので気を遣いますし、人間なので気の合う合わないもあります。
また、患者や利用者の家族とも信頼関係を築く必要がありますが、本人と家族の仲が悪い場合は板挟みになることもあります。
・同職種との人間関係
理学療法士・作業療法士の中には、変なプライドを持っている人やマウントを取りたがる人が少なくありません。
向上心が強い人も多く、それ自体は素晴らしいことですが、それを周囲に強要する人もいます。
相手にしなければ良いと分かってはいても、自分が正しいと信じて疑わない人や知識をひけらかす人と一緒に働くのはしんどいですよね。
・他職種との人間関係
理学療法士・作業療法士の仕事は、医師・看護師・介護士・ケアマネジャーなど他職種との連携により成り立っているので、他職種との人間関係は避けて通れません。
病院や施設によるかもしれませんが、理学療法士・作業療法士はそれらの他職種に比べると弱いです。というより、それらの他職種が強いです。実際、看護師に強い口調で対応されて心折れる新人はたくさんいます。
理学療法士・作業療法士も専門職としての発言力はあるのですが、全体の傾向として柔らかい方が多いので、他職種とのコミュニケーションにストレスを感じる方も少なくありません。
供給過多
理学療法士・作業療法士はやめとけと言われる理由の9つ目は、供給過多だからです。
理学療法士・作業療法士は1965年に国家資格として制定されました。
当時は需要に対して供給が追いついていない、需要過多でした。
しかし1999年の規制緩和により養成校が多く設立されたことで、徐々に供給過多へと転じています。
厚生労働省が出している理学療法士・作業療法士の需給推計データ(2019年)によると、2019年時点で供給が需要を上回っている
2040年には需要に対して1.5倍の供給になる予想
つまり今後は、「資格を取っても働く場所がない」ということがあり得るのです。
理学療法士・作業療法士は本当にやめた方がいいのか
理学療法士・作業療法士のおすすめポイント
国家資格
理学療法士・作業療法士は国家資格です。
給料が低い、昇給がない、供給過多など、不安になる話ばかりをしてきましたが、やはり安定はしています。コロナ禍でも、職を失ったり給料が下がったりした方はほとんどいないのではないでしょうか。日本国内どこに行っても通用する資格は、大きなメリットです。
また、一定の社会的地位もあるため、他者の信用を得やすいです。職業を聞かれたときに「理学療法士です」と答えられるのは一つの自信になります。
やりがいがある
理学療法士・作業療法士の仕事は患者や利用者の生活に直結します。
自分の知識や技術で誰かの生活を直接変えることが出来る、そんな仕事は多くはありません。責任は重いですが、その分やりがいも大きいです。
患者が動けるようになれば大きな喜びと達成感を味わうことが出来ます。
そして、「ありがとう」と言ってもらえると、頑張って良かった、これからも頑張ろうと思えるのです。
転職・復職しやすい
理学療法士・作業療法士は転職・復職しやすい職業の一つです。
国家資格の強みでもありますが、理学療法士・作業療法士の資格がなければ出来ない業務がたくさんあるため、常に一定の求人があります。
また、供給過多とは言え、病院や施設だけでなくスポーツリハビリや自費リハビリなどに職域が拡がりつつあります。いろんな事情で職場を変わる場合も、ある程度譲歩すればいくつかの職場から選ぶことが可能です。
理学療法士・作業療法士から一度異業種に挑戦した方や、子育て・介護でしばらく休職した方も復職しやすい職業だと言えるでしょう。
夜勤がない
理学療法士・作業療法士は夜勤がないことがほとんどです。
多くの医療関係職種は夜勤がありますが、不規則な生活で体調を崩して就労を継続出来なくなる方も少なくありません。また、夜勤はライフスタイルにも大きな影響を与えます。
理学療法士・作業療法士は、患者や利用者が休んでいる時間にはリハビリが出来ないため、夜勤は辛い、夜は家族と過ごしたいと言う方にはおすすめです。
自分の裁量で仕事が出来る
理学療法士・作業療法士の仕事は個人の裁量に委ねられている部分が大きいです。
もちろん最初はリハビリから書類作成まで業務の一つ一つを先輩に確認しながら取り組みますが、3年も経てばある程度は自分の判断で仕事をすることになります。
担当数や単位数を極端にコントロールすることは難しいですが、自分の都合でスケジュールを組み(何時にどの人のリハビリをして、何時に書類をするかなど)、自分で考えてリハビリを進めることが出来るのは、ストレスが少ない点と言えます。
理学療法士・作業療法士に向いている人とは
人が好き
理学療法士・作業療法士は人を相手にする仕事です。
同じ人と毎日20〜60分関わり続けることになります。
そして、その人の人生や生活に向き合い、何が必要か考え、根気強く支援しなくてはいけません。
その分、信頼関係を築けた時や目標を達成した時には喜びを分かち合うことが出来るでしょう。
人が好きで、人の役に立ちたいという方は理学療法士・作業療法士に向いています。
勉強が好き
理学療法士・作業療法士は常に知識や技術のアップデートが必要な仕事です。
研修や学会に限らず、日々の臨床で少しでも分からないことがあればすぐに調べて解決しなければいけません。
勉強すること、新しい知識を得ることを楽しめる方は理学療法士・作業療法士に向いています。
仕事は給料よりやりがい
理学療法士・作業療法士は給料が低いですが、やりがいは抜群です。
患者や利用者と直接関わりながら、その人の生活をより良くするために働くことが出来ます。
患者や利用者の回復を体感出来ること、笑顔を見れること、感謝の言葉を聞けることは、お金で得難いものです。
給料よりやりがいを重視したいという方は理学療法士・作業療法士に向いています。
理学療法士・作業療法士として生き残るための対策
職場を変える
理学療法士・作業療法士に限らず、職場にはアタリハズレがあります。
どうしようもないブラックもあれば、びっくりするくらいホワイトもあります。
給料の低さや休みにくさも、病院や施設の体制によってピンキリです。
理学療法士・作業療法士の仕事自体は好きだけど、今の環境が辛い…と言う方は転職を考えましょう。
また、いくつかの職場を経験することでその職場の良し悪しを判断することが出来るようになりますし、職場が合わないのか理学療法士・作業療法士という仕事が合わないのかを確認することも出来ます。
副業する
理学療法士・作業療法士は続けたい、職場に不満はないけど給料の低さがネック…と言う方は副業を考えましょう。
リハビリの仕事が好きで職場に不満がないなら、その環境を捨てるのはあまりにもったいないです。
その環境に居ながら収入アップを狙うためには、自分のライフスタイルに合った副業を見つけ、実践していくことをおすすめします。
起業する
理学療法士・作業療法士として成功したい、理想を叶えたいという野心がある方は起業を考えましょう。
理学療法士・作業療法士に開業権はなく、起業して理学療法や作業療法を提供することは出来ません。しかし、理学療法士・作業療法士の知見を活かして起業することは可能です。
理学療法士を名乗らずに起業する
理学療法士を名乗ったり理学療法を提供したりすることは出来ませんが、整体、パーソナルトレーナー、カイロプラクティックとして起業することは可能です。これらの分野であれば理学療法士としての経験や知識を活かすことが出来ます。
介護予防事業で起業する
平成25年に厚生労働省より、
介護予防事業等において、身体に障害のない者に対して、転倒防止の指導等の診療の補助に該当しない範囲の業務を行うことがあるが、このように理学療法以外の業務を行うときであっても、「理学療法士」という名称を使用することは何ら問題ないこと。また、このような診療の補助に該当しない範囲の業務を行うときは、医師の指示は不要であること。
が通知されています。
セミナー事業で起業する
セミナーとは、研修会や講習会のことです。
理学療法士・作業療法士としての知識を療法士や一般人に対して提供することで収益を得ることが出来ます。ただし、セミナーの集客には講師の知名度が物を言うため、実績がない場合は険しい道のりとなるでしょう。
理学療法士・作業療法士はやめとけと言われる理由と対策:まとめ
理学療法士・作業療法士は給料が低いなどのデメリットもありますが、国家資格で、転職や復職もしやすく、とても恵まれています。何より、人の役に立つことでやりがいを感じられる、素晴らしい職業です。
理学療法士・作業療法士はやめとけと言われると不安になりますが、やめとけと言われる理由と対策を知ればどうすべきかを考えることが出来ます。
この記事を読んで、
「理学療法士・作業療法士でいるメリットの方が大きい」と感じた方は、転職や副業を考えましょう。
「理学療法士・作業療法士は向いていないかも」と感じた方は、思い切って他の仕事を探してみると良いかもしれません。
理学療法士もうすぐ二桁
急性期・回復期・生活期を経験
転職1年半でチームリーダー
転職3年で主任
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